10月第3週の実践研究会は、先週に引き続きブリーフセラピー(短期療法)応用の実践回。
各グループで、参加者が「カウンセラー」「クライアント」「オブザーバー」の役を交代しながら、
“例外探し”を中心とした短期介入的アプローチを試しました。
今週は「理論理解」から一歩進み、実際に“行動変容を生む対話”を体感する回に。
多くの参加者が「新しい筋肉を使ったような感覚だった」と語りました。
▼ 今回のテーマ:「行動変容」を生み出すキャリアカウンセリング
松尾講師は、冒頭でこう語りました。
「傾聴も、関係構築も、相手を理解することも——
すべては“行動変容を促すための手段”です。」
キャリアカウンセリングにおける目的は、
“仲良くなること”でも“話を聴くこと”でもなく、
クライアントが自ら動き出すことを支えること。
ブリーフセラピーの応用は、その「一歩」を促すための有効な道具。
関係構築から、問題の共有、例外探し、リフレーミング、コンプリメント(賞賛)へと、
クライアントの“内的な変化”を引き出すプロセスを練習しました。
▼ 各ルームの実践と気づき
🔹ルーム4:雑談のような対話に“例外”のヒントがある
クライアントとカウンセラーの両方を体験し、「問題の確認と例外探しを同時に進める難しさ」を実感。
“ブリーフ”を堅苦しく捉えず、「キャリア相談の中で自然に使う」意識が大切だと気づいた。
雑談的な関わりの中にこそ、本音や行動のきっかけが隠れている。
「友人との会話のように聴いてもらえたことで、自然と“できていること”を話せた」
「形式よりも“人としての関心”を向けることで、行動の糸口が見えた」
松尾講師からは、
「キャリア支援では“手段”と“目的”を取り違えないこと。
聴く・共感するは、行動変容のための手段です。」
というメッセージがありました。
🔹ルーム5:質問のしすぎは“自由度”を奪う
クライアントの話を聞き出そうとするあまり、質問を重ねすぎてしまった。
その結果、「相手の思考の自由」を奪ってしまったことに気づいた。
まずは傾聴と共感を通じて“話しやすさ”を作ることの大切さを再確認。
「短時間で進めようとすると、つい“聞き出そう”としてしまう。
でも、それが逆に話す余地を狭めていた。」
松尾講師は次のように解説しました。
「ブリーフセラピーは中盤以降のアプローチ。
問題が明確でない段階で使うと空回りする。
国家資格実技試験でも、まず“問題把握”ができるかが9割を占めます。」
🔹ルーム1:クライアント自身が“解決策を生み出す”流れ
クライアントの例外を3つ挙げてもらい、そこから自分で行動策を導く展開に。
「提案する」ではなく、「どうしたいかを尋ねる」問いが、
クライアントの主体性を引き出した。
結果、本人が「これならやってみよう」と自然に行動を選択。
「ブリーフは“提案”ではなく、“気づきを促す会話”。
クライアント自身が見つけた解決策は、実行されやすい。」
松尾講師からも、
「来談者中心の姿勢が血肉になっているからこそ、
ブリーフの技法を自然に融合できている」
と高い評価がありました。
🔹ルーム2:一言が“行動のスイッチ”になる
問題把握に時間をかけながらも、最後のひとことが行動を促すきっかけに。
雑談のような自然な流れから、気づきと行動への転換が生まれた。
「他の会員さんの一言で、“やってみよう”という気持ちになった。」
「雑談の中でも、例外を見つける力を磨く必要があると感じた。」
松尾講師:
「雑談の中から例外を探せるなら、それでいい。
ブリーフでは“雑談できる関係性”を作ることも技法の一つ。」
🔹ルーム3:視野を広げる“例外探し”の力
クライアントが「うまくいかないこと」に意識を向けていたが、
カウンセラーが別の角度から「できているとき」を引き出すことで、
視野が広がる体験に。
「いつもと違う関わり方をしてみたら?」という提案が、
クライアントの気づきを後押し。
「話しているうちに、自分で狭めていた視点が広がっていった。」
松尾講師からは、
「リフレーミング(言葉の切り替え)やコンプリメント(賞賛)も、
ブリーフの重要な技法。場面に応じて使い分けることで、
クライアントの“自己効力感”を高めることができる。」
▼ 松尾講師まとめ:「ブリーフは“筋トレ”のようなもの」
「普段使わない筋肉を使うからこそ、違和感や疲労がある。
でもその積み重ねが“引き出しの多いカウンセラー”をつくる。」
今回の練習では、「問題把握」から「例外探し」「行動提案」までの流れを通して、
それぞれが自分なりの“応用スタイル”を見つけ始めました。
次回はいよいよブリーフセラピー応用の最終回。
リフレーミングやコンプリメントを活用しながら、
より自然な形でクライアントの行動変容を促す対話を目指します。
💬「提案するカウンセリング」から、「気づきを生むカウンセリング」へ。
ブリーフの“問い”が、クライアントの未来を動かしていきます。

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