今回のテーマは、先週に引き続き「ブリーフセラピー(短期療法)を応用したキャリアカウンセリング」。
第2週では、いよいよ実践練習に入り、参加者がそれぞれカウンセラー・クライアント・オブザーバーの役割を交代しながら、
“できている時”を探す練習(例外探し)に取り組みました。
松尾講師の言葉を借りれば、
「今日は“筋トレ”です。正解を出すことより、“やってみること”に意味がある。」
まさに、キャリア支援者としての「実践力」を育てる時間となりました。
▼ 今回の実践テーマ:できている時を探す前に「何が問題か」を共有する
ブリーフセラピーでは「問題が起きていない時=例外」を探し、そのときの行動や思考を拡大していくアプローチを取ります。
ただし、キャリア相談の現場では――
🧭「何が問題なのか」そのものが曖昧なことが多い。
うつや依存といった“明確な症状”を扱う臨床領域と異なり、
キャリア相談では「なんとなくモヤモヤする」「このままでいいのか分からない」といった“問題の輪郭”がぼやけていることが多いのです。
松尾講師からは、こんな解説がありました。
「キャリア相談は“二段構造”。
① まず問題を一緒に見つけ、共有する。
② その上で“できているとき”を探す。」
▼ 各ルームでの学びと気づき
🔹ルーム1:「問題の共有」が次のステップを変える
クライアントと“同じ気持ちでいる”ことを大切にしていたが、
言葉で問題を確認するプロセスを抜かしていたことに気づいた。
「共感」だけで終わらせず、問題を共有する対話が次の展開を作る。
子どもへの相談支援でも、無意識にブリーフの要素を使っていたと気づく参加者も。
💬「クライアントと“同じ心のベースにいる”ことに満足していたが、
言葉で問題を共有することが抜けていた。これが自分の課題だと気づいた。」
🔹ルーム2:解決を急ぐより、問題を“広く捉える”
「解決しよう」とする気持ちが強すぎて、問題を把握しきれなかったという気づき。
例外探しの質問はできても、「どの問題を解決するのか」の軸がズレると効果が出にくい。
オブザーバーからの「別の角度もあるのでは?」という指摘が新たな発見に。
💬「解決を急ぐあまり、近道をしてしまった。
もっと問題を広げて捉える力をつけたい。」
🔹ルーム3:焦点の“解像度”がカウンセリングを変える
問題の焦点がぼやけると、ブリーフの質問も効果が分散してしまう。
クライアント側からは「把握されている」と感じても、
実際には焦点が定まっていないケースが多い。
「問題の解像度を上げる」という表現が印象的に使われた回でした。
💬「問題を絞るだけで、同じ会話でも深さが変わる。
もう一度、焦点を絞って話してみたくなった。」
▼ 松尾講師まとめ:「筋トレとしてのブリーフセラピー」
「今日は“上手くできる”ことが目的ではなく、
“問題を見立て、例外を探す筋肉”を鍛えることが目的です。」
ブリーフセラピーの練習では、正解よりもチャレンジが大切。
問題の共有を早めに行い、「これが課題ですね」と確認してから例外を探すと効果的。
その積み重ねが「共感力+構造的思考力」を育て、現場対応力につながる。
💡「合っているかどうかより、“やってみる”ことで筋肉がつく。
その筋肉が、いつか現場での自信になる。」
▼ 参加者の主な学び
「ブリーフは“答えを出す技法”ではなく、“問題を共有していく技法”だと分かった」
「例外探しをしても、そもそも問題がずれていたら意味がないと痛感」
「キャリア相談の難しさ=問題の見立て。だからこそ面白い」
「焦点を合わせる力が、カウンセリング全体を変えると実感した」
▼ 次回予告
来週はブリーフセラピーの応用編(第3週)。
今回の気づきをもとに、「問題の見立てから例外探しまで」をさらに実践的に深めます。
「クライアントの悩みを“聴く”から、“一緒に見立てる”へ。」
来週もまた、新しい気づきの筋肉を一緒に育てていきましょう。

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