こんにちは。
今回は「国家資格キャリアコンサルタント試験」に取り組んでいる方向けの第5回コラムです。
前回は、「言い換えずに、相手の言葉をそのまま復唱する」という基本的なポイントをお伝えしました。
今回はさらに一歩踏み込んで、「どの言葉を復唱するのか」という選び方のコツについてお話しします。
▼「復唱」はただ繰り返すだけではない
たとえば、こんなクライエントの発言があったとします:
「この春、上司が変わって仕事のやり方も変わったんですけど、私、どうにもこれに慣れなくて戸惑ってるんですよね。」
ここで、復唱の選択肢は複数あります。
「上司が変わられたんですね」
「新しいやり方に取り組まれているんですね」
「戸惑っていらっしゃるんですね」
どれも間違いではありません。
ですが、“どれを選ぶか”によって、クライエントとの関係性や深まり方は大きく変わります。
▼「外側」より「内側」の言葉を拾う
カウンセリングにおける大切な視点がここです:
クライエントの「外側」:事実や出来事(例:上司が変わった)
クライエントの「内側」:感情や思考(例:戸惑っている)
誰が見ても変化したのは「上司」や「仕事のやり方」ですが、
それにどう感じているか、どう考えているかは、クライエントごとに異なります。
だからこそ、「戸惑っている」という感情や、「慣れない」といった主観的な感覚を拾って復唱することが重要なのです。
▼“微妙な言葉”に宿る深い意味
さらに大事なのは、言葉の微妙なニュアンスを捉えることです。
「腹が立つなって思った」
「腹が立つなって思っちゃった」
たった一語の違いに感じるかもしれませんが、
「思っちゃった」には、「本当は思いたくないのに、つい思ってしまった」という葛藤や価値観がにじみ出ています。
この違いをスルーするか、きちんと受け取るか。
それが、クライエントに「わかってもらえた」と感じてもらえるかどうかの分かれ道になります。
▼観察者(オブザーバー)として気づく力を養う
ロールプレイの練習中、自分がカウンセラー役だと気づきにくいですが、
オブザーバーの立場から見ると、微妙な言葉の選び方がよく見えてきます。
「今の言葉、ちょっとスルーしちゃいましたね」
「“思っちゃった”という表現に、何か感情が含まれていたかもしれませんね」
そんなフィードバックができるようになると、受験者同士でもとても学びの深い時間になります。
▼今日のまとめ
復唱では「クライエントの内側=感情・思考・価値観」に注目する
客観的事実(外側)ではなく、主観的な体験(内側)を拾う意識を持つ
微妙な表現や語尾の違いにも敏感になる
オブザーバーとしての練習でも学びを深められる
復唱は“繰り返し”ではなく、“理解の証”です。
「どんな言葉を拾うか」は、キャリアカウンセラーとしての感性を磨く大切なトレーニングになります。
次回は、復唱がなぜこれほど大切なのか、もう少し深い理由についてお話しします。お楽しみに!
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