一般社団法人PENSEE-パンセ-

「分かる」と「できる」のあいだにあるもの

2月第3週のキャリアカウンセリング実践勉強会は、

前週に続いて“動画を題材にした深掘り回”となりました。

今回は初参加の方もいらっしゃり、最後に全体で一言ずつ感想を共有しました。

その時間が、とても象徴的だったと感じています。

なぜなら——

参加者それぞれの「現在地」が、はっきりと言葉になったからです。

▼“共通言語”に戸惑うという健全さ

初参加の方から、こんな感想がありました。

「こういう場には独特の言葉遣いがあると感じた」

「まだ慣れないけれど、同じ言葉を使えるようになりたい」

これはとても健全な感覚です。

どの分野にも“共通言語”があります。

キャリアコンサルティングも例外ではありません。

主訴、内的準拠枠、関係構築、問題把握、自己概念、外在化…。

言葉は単なる用語ではありません。

それは“ものの見方”そのものです。

共通言語があるということは、

共通の地図を持っているということ。

その地図を共有できると、議論が一段深まります。

だからこそ、この場では用語を大切にしています。

▼ステージによって“使う関わり”は変わる

今回の中心テーマの一つが、

「ステージごとの関わり方」でした。

ある参加者から

「ベテランはどんな言い方を意識しているのか?」

という問いがありました。

答えはシンプルです。

“今どのステージにいるか”によって、関わりは変わる。

関係構築ができていない段階で、

第三者の視点を入れると刺さらない。

問題把握が曖昧なまま、

先の展開に進もうとすると空回りする。

しかし、関係ができ、問題が共有できた後なら、

視点を広げる問いは非常に有効になります。

つまり、技法の正解・不正解ではなく、

“タイミング”の問題。

この感覚が腑に落ち始めると、

カウンセリングは一段深まります。

▼ダメ事例が、実は一番勉強になる

今回の動画では、いくつかの「ダメ事例」も扱いました。

・過剰に寄りすぎる

・世間話に流れる

・第三者を主語にしてしまう

・問題を共有しない

参加者からは、

「こうやるとこうなるんだ、がよく分かった」

「改めて確認できた」

という声が出ました。

成功事例よりも、失敗事例のほうが学びは深いことがあります。

なぜなら、

自分もやってしまうからです。

「やってしまいがち」だからこそ、

意識しなければ戻れない。

動画で客観的に見ることで、

自分の癖が浮かび上がる。

この“客観視”の時間は、非常に貴重です。

▼戻りたいのに戻れない、というリアル

ある参加者からは、

「やばい、元に戻したいのに戻せない瞬間がある」

という率直な声もありました。

外側に聴きすぎてしまう。

第三者に焦点を当ててしまう。

テーマが広がりすぎる。

気づいた瞬間には、もう時間が進んでいる。

この感覚、誰もが経験します。

だからこそ「戻り方」を知ることが大切です。

戻る力は、才能ではありません。

訓練です。

そして訓練には、繰り返しが必要です。

▼アーカイブ動画は“教材”ではない

多くの参加者が、

「アーカイブ動画を見直します」

と話していました。

しかし、ここで大事なのは、

動画は“正解集”ではないということ。

あるスタッフの言葉が印象的でした。

「教材のように見ていたけど、

 一つずつ深掘りしてもいいと思った」

その通りです。

動画は完成形ではありません。

あれは“素材”です。

止めていい。

疑っていい。

自分ならどうするか考えていい。

そうやって使うと、

動画は一気に立体的になります。

▼整える時間がないと、人は崩れる

ある参加者がこう言いました。

「普段の仕事で自分の癖が出てしまう」

「こういう場がないと背骨が戻らない」

これは本当にその通りだと思います。

現場では、

・時間に追われる

・成果を求められる

・問題解決を急がれる

そんな中で、

つい“利き手”ばかり使ってしまう。

聞き役のはずが、解決役になってしまう。

だからこそ、

整える時間が必要。

学びは、矯正でもあり、リセットでもある。

定期的に戻る場所があることの意味は、

とても大きい。

▼半年後、同じ動画を見たらどうなるか?

ある参加者から、こんな提案もありました。

「半年後や1年後に、同じ動画を見てみたらどうか」

これは素晴らしい視点です。

同じ映像でも、

見る人のレベルが上がれば、

見えるものが変わります。

今は気づかないことも、

半年後には刺さるかもしれない。

成長は“気づきの質”で分かります。

だからこそ、

同じ素材を繰り返す価値がある。

▼分かると、できるは違う

来週は「ただの練習会」です。

テーマもありません。

動画もありません。

ただやるだけ。

でも、これが一番大事です。

「分かったつもり」は、

やった瞬間に崩れます。

でもそれでいい。

崩れるからこそ、

本物が残る。

分かる → 意識する → やってみる → 崩れる → 修正する

この繰り返しが、力になります。

▼この勉強会が目指しているもの

私たちは、技法マニアを育てたいわけではありません。

目指しているのは、

構造を理解し、

自分の癖を自覚し、

整え直せるカウンセラー。

だからQ&Aを大切にしています。

質問が出るということは、

思考している証拠です。

今回、たくさんの問いが出ました。

それは、この場が“受け身の学び”ではなく、

“対話の学び”になっている証拠です。

▼来週へ

来週は練習会。

分かるとできるの間を埋める時間。

整えて、崩して、また整える。

その繰り返しの中で、

確実に力はついていきます。

また同じ時間にお会いしましょう。

そして一段、階段を上がりましょう。

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