前回のコラムでは、ES添削の全体的な振り返りと新卒採用市場の動向をお伝えしました。
今回は、その中で見えてきた「エントリーシート(ES)の役割」と「学生の書き方の課題」について整理します。
■ エントリーシートの役割
企業がESを課す目的は大きく5つあります。
- 求める人材とのマッチング確認
- 応募者の企業理解の確認
- 志望度・熱意の確認
- 企業理解を深める学習機会の提供(企業研究の促進)
- 自社ブランディングの向上
近年は特に4と5が重視され、企業は学生に「自社への深い理解」を促す設問を工夫しています。従来の自己PR・学業や課外活動(ガクチカ)・志望動機だけでなく、独自性のある質問やアンケート形式の設問も増えています。AIによる評価との相性を考えた設問設計も進んでおり、ESの形は今まさに変化の時期にあります。
■ 添削から見えた課題
添削の中で強く感じたのは、企業が求めるESの意図や機能を十分理解していない学生が多いという点です。
具体的には以下の傾向が目立ちました。
一貫性の欠如
自己PR・ガクチカ・志望動機がそれぞれ単発で書かれており、全体としてどんな人物像を訴求したいのかが見えない。矛盾やつながりの弱さが目立つ。
自己分析・企業研究の不足
強みや特徴が表面的で、エピソードと自己評価が一致しない。企業の価値観や求める人材像に沿ったアピールになっていない。
※無理に合わせる必要はないが、理解した上でマッチしない企業は受けないという判断が必要。
企業視点の欠如
「自分がやりたいこと・やったこと」中心で、企業側が知りたい人物像や価値観への接続が弱い。
志望動機の弱さ
「安定している」「成長できる」といった自分軸に終始し、なぜその企業なのかが書かれていない。
人柄・ポテンシャルの描写不足
行動・事実・結果の羅列に終わり、背景や考え方、動機が抜けているため、人物像が伝わらない。
詰め込みすぎによる不明瞭化
多くの要素を盛り込みすぎて主張がぼやけるケースが多数。背景を含めたストーリー性が必要。
■ 改善のポイント
ESは「何をしたか」より「なぜそれをしたか」「そこから何を学び、どう活かすか」が重要です。
書く際の基本構成として、以下の流れを意識するだけで、人物像が格段に伝わりやすくなります。
目的・動機 → 背景 → 行動・事実 → 結果 → 結論(学び・今の行動)
また、エピソードが多い場合は、自己分析と企業研究を行ったうえで最も訴求力のあるものに絞ることが大切です。
次回は、この課題を踏まえた学生支援の具体的アプローチについて触れる予定です。
添削で得た気づきを、今後の支援にどう活かすかを一緒に考えていきましょう。

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