【〜キャリアカウンセラーの「見立て力」を磨く3週間〜】
この3週間、見立てる力に焦点を当てたキャリアカウンセリング実践勉強会をしてきました。クライアントの本質的な課題を見抜き、適切な支援につなげる——この能力こそが、私たちキャリアカウンセラーに求められる核心的スキルだと考えています。
今回の勉強会では、参加者を4つのグループに分け、各グループで同じクライアント事例について議論する形式を取りました。この方式により、多様な視点から事例を捉え、互いの考えを共有し、学び合うことができました。
クライアント事例は、就職活動中の学生から、育児と職場の責任者を両立する女性まで、3週間を通じて様々な状況を設定しました。参加者は、提示された情報をもとに、クライアントが真に抱えている課題は何か、どのようなアプローチが効果的かを熟考しました。
例えば、就活生のケースでは、「わからない」という言葉が頻出していることに着目し、その背景を探る議論が活発に行われました。単に就職への不安だけでなく、自己理解、仕事理解、キャリアプラン、コミュニケーション、思い込みなど、多岐にわたる領域での「わからなさ」が推察されました。
さらに興味深かったのは、「就職」という選択肢自体を問い直す視点です。「みんなが当たり前に就職すると思っている」中で、本人は別の選択—例えば進学や自分探しの時間—を望んでいるのではないか。こうした、社会の暗黙の前提に挑む見立ても出されました。
一方、育児と職場の責任を両立する女性のケースでは、理想と現実のギャップに焦点が当てられました。本人が抱く「こうあるべき」という強い思いが、かえってストレスを高めているのではないか。上司や部下とのコミュニケーション不足、環境変化への対応の難しさなども指摘されました。
各グループから出された見立ては実に多様で、時に予想外のものもありました。しかし、その多様性こそが、この勉強会の醍醐味です。他者の視点を知ることで、自分の固定観念や盲点に気づかされます。
見立てをする際の注意点も共有されました。例えば、「上司に相談しましたか?」と単刀直入に聞くのではなく、「上司の方は、あなたの働きについてどのようにおっしゃっていますか?」といった問いかけ方。クライアントの気づきを促す質問の仕方を工夫することで、カウンセリングの方向性が大きく変わることを学びました。
また、ある参加者からは貴重な
省察が共有されました。見立てから目標設定に移る際、クライアントとの共有を怠ってしまったという反省です。「こういう風に情報収集に行くといいと思うんだけど、どうですか?」とクライアントに確認することで、より協働的な関係が築けるのではないか。こうした気づきも、参加者全員の学びとなりました。
3週間の勉強会を通じて、私たちは「見立てる力」を様々な角度から磨いてきました。しかし、その力は机上の空論ではありません。学んだことを、実際のキャリアカウンセリングの場で、あるいは日常の対話の中で生かしていくことが重要です。
次回は、この3週間の学びを踏まえ、より深い対話の実践に挑戦します。「見立てる力」を基盤に、クライアントとの真の共感的理解を目指します。キャリアカウンセラーとしての成長に終わりはありません。共に学び続け、お互いを高め合っていきましょう。