10月第1週のキャリアカウンセリング実践勉強会は、月初恒例の「対話会」。
今月もテーマ部屋とフリートーク部屋に分かれ、現場で感じるリアルな課題をもとに、深い対話と気づきが交わされました。
テーマ部屋では「役職定年を迎えるクライアントのキャリア支援」、フリー部屋では「人との関わり方・距離感」が話題の中心に。
▼ フリートーク部屋:人との距離を“測る”ではなく“感じる”
「関係性の中でどう距離を取るか」「相手の防御線をどう感じ取るか」――
そんな“人と人の間”にあるテーマをめぐって、静かで深い対話が広がりました。
「近づくほど良い関係」とは限らない。必要な距離を保つことも傾聴の一部。
カウンセリングでも、まずは「相手がどんな距離を望んでいるか」を感じ取る感度が大切。
“予防線”を張る相手を責めず、「いまこの人が安心できる範囲」を尊重する。
💬 「相手の世界に入り込む前に、“相手の世界の入口”を感じ取る。」
その意識の大切さを、改めて思い出させてくれる時間となりました。
▼ テーマ部屋:役職定年を迎えるクライアントの支援
一方、テーマ部屋では「役職定年」をきっかけにしたキャリア支援を議題に。
定年・再雇用・セカンドキャリアといった人生の“再構築期”に、キャリアコンサルタントはどう関わるのかを深めました。
🔹多様な現実と、ひとつとして同じではない背景
家族の状況、経済面、健康、働く意味…すべてが異なる。
「制度」よりもまず「その人の物語」を聴くこと。
定年を“失う瞬間”ではなく、“次の自分を再発見する転機”と捉えること。
🔹アドバイスではなく、“同じ高さで悩む力”
「答えを持つキャリコンはポンコツ。」
― 講師のこの言葉が、多くの参加者に印象を残しました。
キャリアコンサルタントは、クライアントの人生に「答え」を出す専門家ではなく、
その人の視点に立ち、同じ感情の高さで“共に悩む”専門家。
その共感の中から、学んできた理論(シュロスバーグの4S、ブリッジズの転機理論など)が自然に働き始めます。
🔹参加者の声(要約・匿名)
「同じ制度でも“意味の受け取り方”が人それぞれ違うと実感。」
「自分の価値観を一度脇に置く、という姿勢の大切さを思い出した。」
「転機は“終わり”ではなく、“自分を取り戻すきっかけ”。」
「理論は“当てはめる”ものではなく、“一緒に悩む時に浮かぶ道具”なんだと感じた。」
▼ 松尾講師のまとめコメント
「キャリアコンサルタントは“人生に答えを出す人”ではない。
その人の人生を、その人の高さで感じ取る力――それが共感力です。」
理論も経験も、“その人の立場に立って”初めて意味を持ちます。
100人いれば100通りの人生があり、答えは常に本人の中にある。
だからこそ、キャリコンに求められるのは共感力と想像力。
年齢・性別・経験の違いを超えて、他者の人生を想像する力こそが、支援の根幹になるという学びでした。
▼ 来週からのテーマ:ブリーフセラピーで考える「キャリア相談の進め方」
10月はここから3週にわたって、
カウンセリング理論の応用(山の登り方)にフォーカスします。
ブリーフセラピー(短期療法)をベースにしたキャリア支援の考え方
JCDAの経験代謝モデル、協議会のシステマチックアプローチとの違い
実際のキャリア相談にどう取り入れられるかを体感的に学びます
先月の「キャリア理論(ツールの使い方)」に続き、
今月は「カウンセリング理論(関わり方の型)」を探求します。
答えを“伝える”より、まず“聴き合う”ことから。
来週も、あなたの「感じ取る力」を一緒に磨いていきましょう。

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