一般社団法人PENSEE-パンセ-

11月第4週:問題発見1か月のしめくくりと「60点で返す勇気」

今月のテーマはずっと一貫して 「問題発見(問題把握)」。

4週目の今回は、その総仕上げとして少人数ルームでのロープレと振り返りを行いました。

全体としては、

問題そのものを“感じ取る力”

それをクライアントに 言葉として返す勇気

この2つが、1か月を通して確実に育ってきたことが伝わってくる回でした。

ここでは、各ルームの気づきと、最後に講師から共有された大事なポイントをまとめます。

▼ ①「問題はつかめたが、時間が足りなかった」

あるルームでは、キャリコン役が

状況が少し複雑な事例を扱いながらも

クライアントの抱えている問題の“芯”をかなり捉えられていた

という手ごたえがありました。

ただし、

説明が必要な事情が多く

問題の核心を言語化して共有する前に時間切れ

という“惜しい”終わり方に。

「本質は感じ取れていたけれど、

それを言語化するところまで届かなかった」

という振り返りは、

今後の大きな伸びしろの確認にもなりました。

▼ ②「じっくり聴きすぎて、返すタイミングを逃す」

別のルームでは、

クライアントの話を丁寧に聴くことはできた

けれど「こういう問題ですね」と返すのが遅れがち

という課題が共有されました。

印象的だったのは、

「こうかな、と思っても

もう少し聞いてからにしよう、と構えてしまう」

という気づきでした。

また、クライアントの「更新するか悩むくらい」という言葉を、

“強調”として聞き流してしまい、

「あとで振り返ると、実はそこが大事なポイントだったとわかった」

という学びも挙がりました。

話に飲み込まれすぎず、

クライアントの“今”の重要な分岐点を見逃さないこと。

それが改めて浮き彫りになったセッションでした。

▼ ③「問題把握は一度きりではなく、続いていく」

ある参加者からは、

「問題把握って、最初に一回やって終わり、ではなく、

面談全体を通してずっと意識していくものなんだと感じた」

という言葉も出ました。

一度「これが問題ですね」と共有しても

話が進む中で、新しい問題や別の層が見えてくる

そのたびに、

“今の”問題をどう把握し直していくか を考え続ける必要がある。

こうした「動き続ける問題」を扱う感覚が、

今回の演習を通じて少しずつ身についてきているようでした。

▼ ④「話しているうちに、自分でも気づいていなかった悩みが出てくる」

クライアント役の振り返りでは、

最初「これが気になっている」と思って話し始めたのに

話すうちに「実はこんな思いも抱えていた」とわかってきた

という声が何度か挙がりました。

「いくつかの要素が複合した“もやもや”を、

話しながらやっと自分でも整理できてきた」

クライアントも、自分の悩みを最初からクリアに言語化できているわけではありません。

だからこそ、

いろいろな角度から問いかける

話を要約しながら返す

といった関わりの中で、

クライアント自身の気づきが深まる時間が大切だという実感が共有されました。

▼ ⑤「問題を返すチャレンジが、“自分の学び”になる」

今月の演習では、何度も繰り返し

「こういうことが、今の問題なんじゃないでしょうか?」

と “問題を言葉にして返すチャレンジ” が行われました。

返してみて「浅かった」と気づくこともある

それでも「言えたこと自体が一歩前進だった」と感じられる

という振り返りが多く出ていました。

クライアント役からも、

「言ってもらったことで、自分の中がスッキリした」

という声があり、

練習の場だからこそできるチャレンジが

しっかりと実を結んでいるようです。

▼ 講師総括:「60点で返して、クライアントと一緒に修正していく」

最後に、講師から今月の総括として

とても大切なメッセージが共有されました。

● 100点を狙って黙るより、「60点で返す」ほうが早い

自分の中で100点になるまで考え込み、

一度も返せないまま時間が過ぎてしまうよりも

“今の理解なりに”60点でもいいから返してみる

そうすることで、

「そこは違うんです」

「そう、それが一番近いです」

など、クライアントから補足や修正がもらえます。

つまり、

一人で100点を当てにいくより

クライアントと一緒に70点・80点へ育てていくほうが、結果的に早くて深い

という考え方です。

● 「わかってないと思われる」デメリットより、理解が深まるメリット

もちろん、

「外したらどうしよう」

「分かってないと思われないだろうか」

という不安はあります。

でも、ある程度きちんと聴いていれば、

クライアントは

「ちゃんと分かろうとしてくれている」

と感じてくれるもの。

その信頼関係があれば、

60点で返し、そこから一緒に修正していくプロセスは、

むしろクライアントの安心にもつながっていきます。

▼ 来月からのテーマ:「見立て」へ

今月は、

出来事ではなく

クライアントがそれをどう捉え、どう感じているか

という 「問題発見・問題把握」 に集中してきました。

来月からは、その次のステップである 「見立て」 に進みます。

この人の問題を生み出している要因は何か

何があれば、この人は今の問題を乗り越えられそうか

自己理解? コミュニケーション? 視野の狭さ? 環境要因?

といったことを、

カウンセラー側が “診断のように整理していく力” を養っていく予定です。

「問題を捉えられていないのに、見立ては立たない」

今月のトレーニングは、まさにこの土台づくりでした。

来月、その土台の上にどんな「見立て」の練習が積み上がっていくのか、とても楽しみです。

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