こんにちは。
国家資格キャリアコンサルタント試験の受験者向けコラム、第6回です。
前回は「どの言葉を復唱するか」というテーマで、“クライエントの内側の言葉”を選ぶ重要性についてお伝えしました。
今回は、その続編として「なぜ“内側の復唱”が重要なのか?」という理由を深掘りします。
▼キャリアコンサルタントが扱う“問題”とは?
私たちキャリアコンサルタントが向き合うクライエントの問題は、
主観的な世界にあるものがほとんどです。
✔ 客観的な世界(外側)= 起きた出来事や事実
✔ 主観的な世界(内側)= それをどう感じたか、どう捉えているか
たとえば、会社が倒産して明日から職を失うという出来事があったとしても、
Aさん:「この先やっていけない…」と途方に暮れる
Bさん:「いい機会かもしれない」と前向きに準備する
このように、“同じ出来事”でも、“問題の質”は人によって全く違うのです。
▼試験で問われるのは“主観を捉える力”
ビジネスの世界では客観的な情報を元に問題解決する力が重視されますが、
カウンセリングでは逆です。
主観的な問題に気づき、丁寧に向き合う力こそが試験で問われているスキルです。
そのため、ロープレや試験ケースでは、
「客観的な問題を解決」しようとする姿勢よりも、
「クライエントの主観を理解できるか」が大切になります。
▼復唱によってカウンセリングの流れが変わる
復唱には2つのスタイルがあります。
復唱の対象 クライエントの反応
外側の事実:「上司が変わったんですね」 → 上司の特徴や業務内容など“状況説明”に話が流れる
内側の感情:「戸惑っているんですね」 → 自分の気持ちや考えに“焦点を当てた対話”が進む
つまり、どこを復唱するかによって、話題の質が変わってしまうのです。
特に初心者の方からよく聞く、
「クライエントがあまり気持ちを語ってくれなかった」
という声の裏には、“外側ばかりを復唱してしまっていた”という構造が隠れていることがよくあります。
▼主観的世界を開く“合図”になる
復唱とは、ただ繰り返すのではなく、「ここを話していいんだよ」というサインでもあります。
「上司が変わったんですね」→ 組織の話題へ
「慣れなくて戸惑っているんですね」→ 自分の不安や違和感、感情へ
この“話題の方向性”が、キャリアコンサルタントの復唱によって無意識に決まっていくのです。
▼振り返りのコツ
ロープレ練習の後には、以下の視点でぜひ振り返ってみてください。
✔ 復唱はどんな言葉を選んでいたか?
✔ 外側の事象ばかり拾っていなかったか?
✔ クライエントは“誰の話”をしていたか?自分の話か、上司や会社の話か?
✔ もし内側の復唱を増やしたら、話の深まり方に変化があったか?
このような気づきが、実践力と試験対応力の両方を高めるカギになります。
▼まとめ:カウンセリングの主役は「クライエントの心」
キャリアコンサルタントは、出来事そのものよりも、
その出来事をどう受け止めているかに焦点を当てる存在です。
そのために必要なのが「主観的世界」を扱う技術であり、
その第一歩が“内側の言葉を拾う復唱”です。
復唱の質を上げるだけで、カウンセリングの深まり方も大きく変わります。
ぜひこの感覚を意識して、練習に取り組んでみてください。
次回はさらに「復唱の実践例」や「よくある間違い」などにも触れていく予定です。
続けての学びもお楽しみに!
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