今回の振り返りでは、大学のES添削業務を通じて得た経験をベースに、他大学や今後の学生支援に活かせる視点をまとめます。
現場での実感やAIの影響、そしてこれからのキャリア支援者に求められる姿勢について触れます。
① 大学ごとのカラーと意図を汲み取る
今回のES添削は、大学側が明確な型(自己PRなら1→2→3→4の流れ)を提示し、それに沿って学生が作成する「システム型」が特徴でした。
しかし、他大学では以下のようにスタイルが異なります。
自由度重視型:まずは自分で考えて提出させる
観点追加型:専門職視点や独自観点を加えてほしいと指示する
独自基準型:大学独自の書き方・評価基準に沿っているかを重点的に確認
支援側は、大学ごとのカラーや意図を正しく把握し、それに応じた添削を行う必要があります。
また、大学からの「追加項目」指示は単なる作業指示ではなく、その背景や目的も学生に理解させることが重要です。
② 企業視点に寄りすぎない
企業が何を見ているか(何のための質問か)を理解させることは不可欠ですが、上位層の学生ほど過剰に迎合し、自分の個性や価値観が見えなくなる傾向があります。
企業理解は大事
しかし、「あなたはどうなのか?」という自己像が欠けると評価が下がる
会社情報の羅列だけでは志望理由として弱い
相手を知ることと、自分を伝えることのバランスを取らせる指導が必要です。
③ 自己PRとガクチカの書き分けの理解不足
どの大学・学生層でも、自己PRと学チカの役割の違いが理解されていないケースは多く見られます。
自己PR=強みやスキル(Fact中心)
ガクチカ=取り組み方や姿勢(How中心)
「なぜ2つ必要なのか?」という質問は支援序盤で必ず出るため、ES全体の目的と企業視点をセットで説明することが欠かせません。
④ AI時代のESと差別化
近年、AIで作成されたESは文章として整っている一方、個性や価値観が欠けるケースが多く見られます。
差別化の鍵は、AIでは生成できない本人の経験・背景・思考の深掘りです。
AI使用は可。ただし最後は自分の言葉で仕上げる
「どうしてそう思ったか」「なぜその行動をしたのか」を必ず盛り込む
ツールの使い方を知るだけでなく、使った結果どう自分らしさを残すかを支援者も理解しておく
⑤ ES支援の限界と今後の採用形態の変化
紙ベースや一方通行の添削では、学生の本音や背景を深掘りするのが難しい場面もありました。
今後は、リアルタイム対話型の添削や面接練習に近い形式が増える可能性があります。
さらに、一次選考からAI面接を導入する企業も出ており、ESそのものがなくなる可能性も議論されています。
⑥ キャリア支援者に求められる「先を読む力」
IT革新や採用の変化により、今の形が数年後も続く保証はありません。
キャリア支援者は、
社会情勢や経済動向
企業が将来求める人物像
を先読みし、大学や学生に還元する力が求められます。
「今を追う」のではなく、「少し先の未来」を仮説立てて考える
それに基づき支援の方法や教育内容を柔軟に更新することが重要です。
まとめ
大学ごとの意図を理解し、それに合わせた支援を行う
企業視点と自己表現のバランスを取らせる
AI時代のESでは、経験・価値観の深掘りが差別化ポイント
採用形態の変化を先読みし、支援手法を進化させる
今回の振り返りを通して、ES添削は単なる文章指導ではなく、自己理解・企業理解・将来のキャリア形成をつなぐ重要な場であると再認識しました。
今後も変化に対応しながら、学生の成長を後押しする支援を続けていきたいと思います。

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