11月第2週の実践勉強会のテーマは 「問題発見」。
どのグループからも共通して聞こえてきたのは、次の2つのポイントでした。
クライアント側は“問題”に気づき始めているのに、カウンセラー側が捉え切れないケース
出来事は理解できても、クライアントの“感じ方”を十分に受け止められないケース
どちらも、キャリアカウンセリングの基礎でありながら、実は非常に奥深いテーマです。
今回の勉強会を通じて、各ルームにどんな学びがあったのか整理していきます。
▼ ①「やり方への意識」が強すぎたケース
あるルームでは、序盤の“オリエンテーション手順”を意識しすぎるあまり、
カウンセリングの流れが固くなってしまうという課題が共有されました。
それでも問題の8割は捉えられていたという手応えもあり、
「あともう少し深められたはず」という前向きな振り返りが印象的でした。
▼ ②「事柄」ではなく「自分」にモヤモヤしていたケース
別のルームでは、クライアントが抱えていたのは
“出来事へのイライラ”ではなく、
“イライラしてしまう自分への落ち込み”だった、という学びがありました。
カウンセラー側は出来事に視点を置いていましたが、
本来焦点を当てるべきは 「自分をどう感じているか」 の方だった――
という大切な気づきが生まれたセッションでした。
▼ ③ クライアントは気づいていたのに、カウンセラーが確信を持てなかったケース
他のルームでは、クライアントの中では
「これが問題だ」と気づきが起きていたものの、
カウンセラー側がその核心を“掴みきれなかった”という振り返りがありました。
問いかけはできていたものの、
もう一歩感情に寄り添う
「これが問題なんですね?」という“石を置く”確認
この2点が少し不足していたことが整理されました。
▼ ④ 深い気持ちを引き出せたものの、選択肢まで届けなかったケース
あるグループでは、気持ちをしっかり引き出すことはできたものの、
クライアントが迷っている“選択肢の輪郭”までは辿りつけず、
「もう少し時間があれば…」という振り返りがありました。
問題発見は、
「気持ち」「状況」「選択肢」 の3つが線でつながってくると、
一気に整理されていくもの。
そのプロセスの途中まで進めた良い演習でした。
▼ ⑤ 深いモヤモヤに寄り添えたセッション
別のルームでは、クライアントの“モヤモヤの正体”を探るために、
丁寧な寄り添いが印象的だったとの共有がありました。
ただし、言葉の端々のニュアンスがずれており、
「似ているけど違う」問題定義 になってしまった部分も。
時間があればさらに整合できたはず、という学びで締めくくられました。
▼ 松尾講師から総括:問題発見は「石を置く」プロセス
講師からのフィードバックでは、2つの大きなポイントが強調されました。
▼ 1. 「問題ですよね?」という“石”を置くこと
クライアントの話をただ聴き続けるだけでは、
どれだけ時間があっても “問題が定義されないまま” になってしまう。
だからこそ、
「これが問題なんでしょうか?」
「ここが一番気になっているところで合っていますか?」
こうした 問題を確定するための問いかけ が不可欠。
この“石を置く作業”をしない限り、
話はずっとループしてしまう――という大切な指摘でした。
▼ 2. クライアントの言葉で「理解した気にならない」
もう一つの重要なポイントは、
モヤモヤ・イライラ・不安などの言葉を“そのまま”理解した気にならないこと。
どんなモヤモヤ?
誰に対するイライラ?
自分への怒り?出来事への怒り?
言葉だけでは本質が掴めないため、
“その奥にある感覚”を丁寧に聴く必要がある、
という本質的な学びが共有されました。
▼ 「なぜ?」と思う姿勢が、世界観を理解する入口
一般的に“問題”だと思われる事柄であっても、
実際に何が辛いかは 人によってまったく違います。
自己否定が辛いのか
将来が不安なのか
他者からの評価が痛いのか
自分の価値観が揺らぐのか
“なぜそれが問題なのか”を心から知りたいと思う姿勢が、
本当の意味での傾聴につながる――
そんなメッセージで総括が締めくくられました。
▼ 次回は「問題発見」第2ステップへ
来週・再来週も引き続き、問題発見の演習が続きます。
今回当たらなかった方も今後のルームで練習できますのでご安心ください。
問題発見は、キャリア支援の核となる技術。
“感じる・考える・言葉にする” を往復させながら、
実践的な感覚を磨く1週間になりました。
次回もまた、深い学びの場でお会いしましょう。

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